歯を残すために
To leave teeth
歯を残すために
一生で生えてくる歯の数は、生まれる前にすでに決まっています。個人差はありますが、人間は幼少期にまず乳歯が20本生え、永久歯に生え変わっていきます。
最終的に、お口の中には親知らず4本を含めて32本の永久歯が並び、それから生え変わることはありません。
歯の健康は、全身の健康と密接な関係があります。ですから、現在ある歯をしっかり残して、できるなら一生付き合っていきたいですよね。
私たちは、歯や歯茎のケアを通して患者さんの健康に貢献していきたいと考えています。
大橋歯科の健康維持についての考えかた
日本は世界で1、2を誇る『平均寿命』の長い国であることは周知のことだと思いますが、これは「あと何年生きられるか」という生存の期間の長さのみを問題とする考え方です。
しかし2000年ごろから「日常的に介護を必要としないで、自立した生活ができる生存期間」つまり健康寿命というという考え方が主となりつつあります。また、歯の数が多い人ほど健康寿命が長い傾向にあることもわかっています。
1.「よく噛める」ことが全身の健康に繋がる
では健康に過ごすためには何に気をつければいいのか、インターネットや雑誌などで健康的な生活について調べてみるとまず最初に食生活、禁煙、運動や精神的な充足等がでてきます。
歯科はその中でも食生活に密接に関与しています。毎日3食注意して食べ物を選んで生活していても、しっかり噛み砕いた食べ物を胃腸に送らなければ十分な栄養分を摂取できないばかりか、胃腸の負担が増え、将来的な胃腸の病気につながりかねない事態となります。
2.歯と歯ぐきはとても大切な財産
つまり快適な食生活を過ごすためには歯やその周りの歯ぐきなどの健康が欠かせません。
また、そのほかにも声を出すときや表情を作るときも関わってきます。きれいな歯、しっかりした歯茎の人はとても若々しい印象を受けます。噛み合わせがしっかりしていると体の姿勢やバランスがよくなり、九州大学歯学部の調査によると、某老人病院に入院中の65歳以上の方では、歯の数が少ない人ほど認知症が進んでおり、毎日良く噛んで食べている人ほど痴呆が少ないという結果がでています。また、奥歯がないと転倒する確率がおよそ2.5倍になるという研究結果もでています。
そして、ものをしっかり噛むことで脳に刺激を与え、お子様では学力向上、お年寄りでは痴呆症の進行抑制など、記憶力向上につながるという研究結果も出ているのです。
食生活に関しても、よく噛むことで食べ物が細かく砕かれて消化がよくなりますし、唾液がたくさん出て食べ物の味がしっかりわかりおいしく食べられます。
更には脳下垂体の満腹中枢が刺激されて食べる量が減り、結果として太りにくくなるなど、「よく噛める」ことはいい事尽くめなのです。
3.歯を失わないために
このように大切な役割を果たしている歯と歯茎ですが、放置していると歯の本数は段々と減っていってしまいます。基本的に永久歯は、親知らず4本を加えると32本ありますが、日本人は80才の時点で平均10本しか残っていません。歯の本数が減ると、残っている歯にその分の負担がかかってきます。そのため、残っている歯までだめになってしまい、更に歯の本数が減る、という悪循環に陥ってしまいます。
4.「まだ痛くないから大丈夫」…?
歯と歯茎や舌など、お口の状態は自分ではなかなかわからないものです。忙しい、症状もない時には歯医者は後回しになりがちですが、痛みが出るころにはもう手遅れ…ということもあります。
歯を残すためには、まずはお口の中の現状把握と、虫歯や歯周病の予防と進行の抑制が必須です。むし歯などになってからの治療ではなく、なる前の予防を大切にすることを予防歯科といいます。
歯と歯茎の健康を積極的に守るため、歯科医院での歯科医師と衛生士によるケア(PMTC)と、歯科医と歯科衛生士の指導に基づいた毎日のセルフケアの両方で歯周病や虫歯を抑えていきます。
そのためにも、歯科医院での定期的な健診が大切です。
定期健診を受けることで、虫歯や歯周病を予防し、すでに虫歯になってしまった、もしくは虫歯になりかけている(脱灰している)歯は早めに見つけ、虫歯の進行を抑えていく事ができます。予防・初期に治療を始めることで、結果的に治療費を抑えることができますし、歯に与えるダメージも少なくすることができます。
5.あなたの大切な歯を守るために
虫歯と一口に言っても、進行状態によって治療方針も多岐にわたります。
削った部分が大きい歯ほど次の虫歯にかかりやすいことが研究で明らかになっています。歯は削れば削るほど弱くなってしまうのです。そのため、大橋歯科医院では必ず一本一本の歯の診査をしっかり行い、できるだけ削らない治療を心がけています。
虫歯は基本的に自然治癒することはありませんが、ごく初期の虫歯であれば再石灰化することがあります。そのため、1~3ヶ月に一度メンテナンスを行い、経過をみます。
大きくなってしまった虫歯は、これ以上虫歯が進行しないように感染している部分を取り除き、新たに人工の材料で埋める必要がありますが、一般的に保険診療で用いられている材料(金属やプラスティック)では、詰め物や被せ物の下から再び虫歯になることがあります。
当院では再治療の可能性をできるだけなくすため、オールセラミックの詰め物・被せ物を治療したその日にセットできるセレックを導入しました。
虫歯と歯周病の予防、早期治療であなたのお口の健康を維持していきましょう。
6.歯を失ってしまったら
虫歯や歯周病が進むと、やがて歯が使えなくなってしまいます。また、どんなに気を付けていても、事故や病気などで歯を失ってしまうことがあります。
歯がなくなると見た目や発音が悪くなるのはもちろんですが、放置しているとその他にも様々な弊害がでてきます。
まず、失った歯の左右の歯が寄ってきたり、以前噛み合っていた歯が伸びてくるなど、歯並びが悪くなることがあります。
また、失った歯が奥歯だと、残った歯に余分に噛む力がかかるため他の歯まで痛めてしまうこともあります。
そのため、できるだけ早く失った歯にかわる人工の材料でその部分を補う治療をおこないます。
失った歯の数や場所、骨や粘膜の状態によって治療方針がかわってきますが、大別すると
「インプラント」「入れ歯」「ブリッジ」の三つになります。
診査・診断を確実におこない、患者さんの希望に最大限沿った、最も良い治療計画を提案します。
大橋歯科医院では患者さんの生涯を通してお口の中の健康から全身の健康を守っていきたいと考えています。
小コラム~歯を大切に~
8020運動
「8020運動」は、厚生労働省と日本歯科医師会が提唱する「長寿社会を健康に生きるために、80歳になっても20本以上自分の歯を残しましょう」という国民への呼びかけです。
食べることは、命を支える大切なことです。また、全身の健康を保ち、おいしく食べるには「歯」は欠かせません。しっかり噛むことで、唾液の分泌も促され、胃や腸での食べ物の消化・吸収もよくなります。20 本以上の歯があれば、ほとんどの食べ物を噛みくだくことができ、楽しく食べることができます。「8020」ー80 歳になっても自分の歯を20 本以上保つことは、健康で長生きをするための大切な目標といえるのです。
間食の回数
虫歯を作る原因は食事の量ではなく回数です。虫歯は虫歯菌が食べかすから酸を作り、歯を溶かすことで大きくなっていきますが、何度も食事を取るとずっとお口の中に食べ物がある状態が続き、食べかすが供給され続けるからです。また、お砂糖のたくさん入った甘い飲み物や、歯にべっとりと張り付くソフトキャンディーなどは虫歯菌の大好物です。一日3食しっかりとって間食をしないのが理想ですが、小さなお子様などエネルギーがたくさん必要な方に関しては間食は非常に重要です。
間食は時間を決めて、質の良いものを取りましょう。 だらだら食いは禁物!
夜寝る前の飲食
朝起きたとき、口が乾燥していると感じることがあるかと思います。これは、寝ている間は起きている時よりもだ液の出る量が減っているためです。唾液には重炭酸というイオンが含まれており、お口の中の㏗を中性~アルカリ性に保つことで虫歯菌のだす酸を中和し、虫歯を防ぐ働きがあります。しかし、唾液の少ない就寝中は口の中が酸性に傾き、虫歯菌が活動しやすくなっています。寝る前に飲食すると、口の中に虫歯菌の栄養がある状態ですので、更に虫歯ができやすくなってしまいます。
寝る前は飲食は控えましょう。もちろん歯を磨いてからお布団に入りましょう。
歯みがき(ブラッシング)
たかが歯磨き、されど歯磨き。歯みがきは、口の中の虫歯菌を減らすのに最も手軽で効果的な方法です。歯を磨かずにしばらくおいておくと、歯に歯垢が着きますが、これは虫歯菌のかたまりです。虫歯菌が多い状態が続くと、当然虫歯は速く、深くまで進んでしまいます。ですから、毎食後と寝る前に歯磨きをし、お口の中を清潔にすることで虫歯や歯周病の進行を抑えることができます。
しかし、「食後と寝る前にちゃんと歯磨きしているのに虫歯になってしまう…」とおっしゃる患者さんがいらっしゃいます。虫歯や歯周病の原因は体質等も関係があり一概には言えませんが、大抵は歯をうまく磨けていないことが多いです。
自分がどれくらい歯を磨けているか、歯磨きを客観的に評価する方法がPCR(プラーク・コントロール・レコード)法です。
当院では、衛生士によるクリーニング(PMTC,professional teeth cleaning)のなかでPCR法による歯磨きの評価とブラッシングの指導を行っています。一般的には20パーセント以下だとよく磨けているといわれていますが、当院での検査でもブラッシング(歯みがき)後の磨き残しが20パーセントを切る人はほとんどいません。しかし、繰り返し練習することで歯磨きがしっかりできるようになると、格段に虫歯や歯周病になりにくくなります。
歯科医院でのプロケアとおうちでのホームケアを上手に利用して、健康なお口を保ちましょう。
定期検診・クリーニング
歯の治療が一通り終わると歯科医院から足が遠のく方が多いですが、再び虫歯や歯周病になるのを抑えるためには定期的な検診とクリーニングが欠かせません。虫歯や歯周病は初期に治療を始める事で治療にかかる期間や負担を大幅に減らすことができますし、クリーニングで歯石や汚れを取ることで健康な歯と歯茎を維持していくことができます。
当院では、定期健診のときに必ず、歯科医師の視診や触診だけでなく歯茎の検査とエックス線写真による検査をおこないます。この検査により、虫歯や歯周病がないか、歯の周りの骨が溶けていないか、歯石の沈着がないかをみることができます。
虫歯は基本的に自然治癒はしませんが、初期の虫歯であれば再石灰化することがあり、削らずに治療ができる場合があります。もう少し進んでしまった虫歯でも、早めに治療を開始すれば歯の削る量を少なくすることができます。
また、日本人が歯を失う原因で一番多いのが歯周病です。歯周病は歯周病菌が歯の周りの組織を破壊することで起こります。歯周病菌は虫歯菌と同じように歯こうや歯石の中に潜んでいますが、歯磨きで磨き残しがあると歯こうがたまります。歯こうが石灰化すると歯石になり、歯磨きで取り除くことができなくなってしまいます。
そのため、衛生士が磨き残しをチェックし、歯磨き指導を行った上で専用の機械とペーストを用いてクリーニングし、たまっている歯こうや汚れをきれいにします。
さらに、衛生士にが歯茎の状態をチェックし、専門の機械や道具を使って歯肉の下についてしまった歯石を取り除きます。
定期的検診とクリーニングを継続することでお口の中から全身の健康を維持していきましょう。