虫歯とは

口腔内の細菌(虫歯菌)が糖質から作った酸によって、歯質が溶かされて歯が欠けることを一般的に虫歯といいます。

虫歯は、「細菌」「歯の質」「糖質」の3つの要素が重なったときに発生すると考えられています。効果的にむし歯を予防するためには、それぞれの要素に対応した予防のポイントを知ることが大切です。

それぞれのポイントは

  • ①細菌のかたまりである歯こうを除去してきれいなお口を保つ。
  • ②虫歯になりにくい強い歯質にする。
  • ③間食の回数を減らし、食生活習慣を改善する。

以上の三点になります。

歯は一度虫歯になってしまうと、基本的に自然治癒はしません。
まずは虫歯にならないように、おうちでのケアと歯科医院での定期健診で予防していきましょう。

治療の流れ

治療に入る前に、まずは病気がどのような状態か把握することから始めます。

1.問診・視診

まず問診により現在の健康状態やこれまでの経過など確認していきます。お口の中の写真をとり、現時点のお口の状態をわかりやすく説明します。

2.虫歯・歯周病の検査

レントゲンやCTを撮影して歯と骨の状態を診査し、歯周ポケットの深さの計測を行い歯周病の状態を検査します。必要に応じて歯一本一本のレントゲン写真も撮ります。以上の検査で自分の歯が現在どの段階にあるか把握することができます。

すでに虫歯になってしまっていたら…

初期の虫歯は再石灰化することがありますが、ある程度進んでしまった虫歯は感染した歯質を取り除かないと進行を止めることはできません。

歯は削れば削るほど弱くなってしまい、削った部分が大きい歯ほど次の虫歯にかかりやすいことが研究で明らかになっています。
また、削ったところには新たに人工の材料で埋める必要がありますが、制度の悪い金属やプラスティックを用いた治療では、詰め物や被せ物の下から再び虫歯になることがあります。

そのため、大橋歯科医院では再治療の可能性をできるだけなくすため、オールセラミックの詰め物・被せ物を治療したその日にセットできる、3D歯科修復システムセレックを導入しました。
また、治療を行う前に必ず一本一本の歯の診査をしっかり行い、できるだけ削らない治療を心がけています。

セレック治療の利点

  • 精度がいい…削った部位と修復物の間に隙間がないので虫歯になりにくい
  • 天然歯と同じ色調…様々な色調のブロックがあり、美しく自然な仕上がりです。
  • 即日でセラミックの詰め物、かぶせ物が入る…虫歯をとって装着まで最短で1時間で済みます。その日に入るため、仮歯の期間におこるアクシデント(歯が欠ける等)を回避できます。
  • 噛み合わせの歯を傷つけない…天然歯と同じ硬さ、摩耗性のブロックから作ります。
  • 従来の修復物よりはるかに長く持つ…すでに世界中で使われているため様々な論文で証明されています。本来一番長く持つといわれていた金と同等以上の耐久性があります。
  • 金属を使わない…金属アレルギーの方の治療にも使えます。
  • 神経を刺激しない…入れた後にしみる症状がでにくいです。
  • X線の透過性が歯質に近い…ほかに虫歯がないか精密に診断できるようになります。
  • 比較的費用が安い…人件費がかからない分従来のオールセラミック治療より金銭的な負担がずっと少なくなります。

虫歯の治療を何回も繰り返すことで、歯の状態は段階的に悪くなります。一回の治療でどれだけ長く歯を維持することができるかが健康のかなめです。

当院でのセレック治療の症例

30代女性。下の奥歯の違和感と笑ったときに銀歯が目立つ事が気になっていた。

銀歯を外したところ。手前の歯は詰め物の下が虫歯になっていた。

虫歯を取りきり、セレックで削りだしたセラミックの被せ物、詰め物をセットした。

虫歯の原因

虫歯も歯周病も細菌感染症です。

そのためどちらも細菌の働きを抑えるか、感染した組織を除去することで症状の進行を止めることができます。しかし放置しているとどんどん進行してしまうので、早期発見・早期治療が重要です。

虫歯の治療法

左が虫歯の進行状態です。虫歯は進行度によってC0~C4に分かれ、治療法はその段階で異なってきます。

歯が欠けてきたときは、痛みがなくても虫歯が内部で進行してかなり大きな状態になっている場合があり、早めの受診が重要です。

虫歯の前段階 (C0)

C0は虫歯になる前の段階でなりそうな兆候のある状態です。エナメル質という歯の一番表面を覆っている固い組織が虫歯菌によって少し溶かされて白っぽくなっている(脱灰)状態です。この時期はまだ唾液中のカルシウムイオンにより再石灰化することがあります。

対応…ブラッシング指導、クリーニング

歯科医院で磨けていないところや歯みがき方法をチェックし、定期的にクリーニングを受けましょう。場合によっては、歯の溝など汚れがたまりやすい部分を予防填塞(虫歯になる前に溝を埋める処置)します。

おうちでのケアが一番重要になってきますので、歯科医院で自分に合った歯ブラシ、歯みがき粉(フッ素が入っているもの等)を選んでもらいます。
C0より虫歯が進行してしまうと、歯を削る治療となります。一度虫歯治療をした歯は健康な歯より虫歯になりやすいことがわかっています。この時点で虫歯を食い止めるために、おうちでの歯磨きはもちろん、歯科医院で定期的に健診とクリーニングを受けましょう。

第1段階 (C1)

虫歯が、エナメル質に留まっており、象牙質までは進行していない段階です。
まだしみる等の自覚症状は出ませんが、歯に小さな穴が開いてきます。

治療法

歯は削る量が増えると弱くなるので、削る量を最小限にして虫歯を除去し(MI治療)、歯と同じ色の材料で詰めます。

第2段階 (C2)

虫歯が象牙質に到達してしまった状態です。この段階からしみるなどの症状が現れる方が増えてきます。
目で見ても虫歯だとはっきりわかることが多いです。

治療法

虫歯の範囲が小さければ、C1と同じように歯と同じ色の材料で詰めます。虫歯の範囲が大きく、歯と同じ色の材料では強度的に問題が発生する場合は詰め物を作成して修復します。

第3段階 (C3)

虫歯が深く、歯髄(歯の神経)が虫歯菌に感染してしまった状態です。ズキズキとした痛みが出てくる方もいます。
歯髄の生死により治療方針が変わります。

歯髄は神経と血管からできています。歯髄は歯が折れたり、虫歯の時に脳に痛みを伝える働きの他に、外からの刺激に反応して歯の内側に硬い組織作って虫歯を進みにくくするなど、とても重要な働きをしています。また、歯髄を除去した歯と歯髄が残っている歯ではその後の歯の寿命が大きく異なります。そのため、この段階まで虫歯が進行してしまった場合、できるだけ歯髄を保存する処置が選択されます。
歯髄全体が感染してしまった、もしくは歯髄が死んでしまった時は、痛みが出ないように、又これ以上虫歯が進まないように歯髄を取り除き、歯の根っこの中を消毒します。
歯髄がなくなった歯は、歯髄が生きている歯と比べて脆くなってしまうので、コアという支柱を立てて補強し、強い被せ物をつくる必要があります。

治療法
①歯の神経(歯髄)が生きている場合:虫歯菌がどこまで感染しているかによって変わってきます。
生活歯髄切断法…歯髄を切断して健康な部分を残す方法です。若年者で歯の根っこが完成していない場合や、比較的歯髄の感染範囲が少ない歯に行います。
麻酔抜髄法(麻抜)…麻酔を効かせて歯髄を全て取りきる術式です。歯髄が生きてはいるものの、虫歯菌に感染して炎症を起こしてしまうと、歯髄を取りきらないと痛みが出てしまいます。
歯髄を取りきったら、歯の根っこの中を消毒するために何度か通院してお薬を交換します。
歯の根っこの中が無菌状態になったら、最終的なお薬をつめて被せ物の治療に入っていきます。
②歯の神経(歯髄)が死んでいる場合
歯内療法…虫歯菌の感染が歯髄全体に及び、歯髄が死んでしまった歯に行います。一度虫歯菌に感染した神経は元には戻らないので、取り除く必要があります。歯の根っこの中も虫歯菌に感染しているので、通院して薬を交換し、消毒します。歯の深部まで虫歯菌に感染しているため治療期間・回数が掛かりますが、途中で治療をやめてしまうと状虫歯菌の感染が拡大してしまうので、治るまできちんと通い続けることが大切です。
歯の根っこの中が無菌状態になったら、麻酔抜髄法と同じように最終的なお薬を詰め、被せ物を作っていきます。
第4段階 (C4)

虫歯菌が歯に蔓延して、歯冠(歯の頭の部分)が崩壊し、歯髄が虫歯菌に感染している状態です。ここまで進行すると歯の下の骨の部分にまで細菌が侵入している場合が多く、放置すると骨が腐ったり、最悪の場合虫歯菌などが心臓まで到達し、感染症をおこしたりします。早急な対応が必要です。

治療法

残っている歯を抜いて、感染している組織(肉芽)を取り除きます。歯を抜いたままにしていると隣の歯や噛み合っていた歯が動いて来たり、残った歯に負担がかかって傷んでしまったりするため、できるだけ早く人工の材料で補ってあげる必要があります。→インプラントのページ

詰め物、かぶせもの

虫歯を取りきったら人工の材料で埋める必要がありますが、虫歯の範囲や神経の有無によって詰め物や被せ物、使用できる材料が違ってきます。

  • 虫歯の大きさ…詰め物は比較的小さい虫歯を修復するとき、被せ物は範囲の大きい虫歯や神経を取った歯を修復するときに作ります。
  • 材料…歯科で用いられる人工の材料には様々な種類がありますが、例えば前歯だと審美性が求められますし、奥歯だと噛み合わせる力に耐えられる材料を使う必要があります。
①銀歯

保険治療で使われる「銀歯」は、日本の歯科治療でのみ使われる銀を主体とした硬めの合金で、数十年前に使われ始めてから組成はほとんど変わっていません。

メリット
比較的安価…保険が適用されるため自己負担が少ない
デメリット
歯より硬い…噛み合わせの歯にダメージを与え、歯の寿命を短くしてしまう
酸化しやすく、口の中で錆びる…詰め物と歯の間に隙間ができ、再び虫歯ができてしまう
金属色…見た目があまりよくない
金属アレルギー…歯科の金属が原因と考えられるアレルギーの報告が増えている
②プラスチック(CR)

保険で治療できるものとしては、プラスティックの材料があります。

メリット
比較的安価…保険が適用されるため自己負担が少ない
色が天然の歯に近い…比較的見た目がいい
デメリット
歯より強度が弱い…大きい虫歯など、症例のよっては対応できないことがある
原材料がプラスチック…経年的に変色してしまう
変形しやすい…詰め物と歯の間に隙間ができやすく、虫歯ができることがある

歯の健康は、体の健康に直結しています。白い歯にするにしてもただ白くすればいいのではなく、長い目でみて自分にとって一番いい治療法を選びましょう。

小コラム~虫歯ってこんなに恐ろしい~

ほとんどの方は歯が痛くなったら歯医者さんへ行きますよね。しかし、虫歯が進んで激痛になったけれど、歯医者に行かずに我慢していたら痛くなくなった…こんな話を聞いたことはありませんか?実は「痛くなくなった虫歯」ほど恐ろしいものはありません。意外に思われるかもしれませんが、虫歯は「死に至る病」なのです。ではなぜ、虫歯が死因になるのでしょうか?

日本は「国民皆保険」の考えから、基本的にすべての人が健康保険に加入して医療費の負担が軽減されています。そのため比較的気軽に歯医者にかかることができます。

しかし、日本のように恵まれた医療環境の国は非常に稀で、外国では虫歯の治療費が出せずなかなか治療に行けない人が数多くいます。

例えばアメリカでは、貧困層の方で虫歯を我慢し続けた結果全身に虫歯菌が回り、敗血症で亡くなった方もいらっしゃいます。虫歯を放置すると歯の根っこの先から虫歯菌が顎の骨などの周辺の組織に波及することがあります。顎の骨に虫歯菌が感染すると骨髄炎をおこしますし、上顎の歯では副鼻腔というところに膿がたまり、頭痛や発熱を引き起こします。

更に炎症が拡大すると、虫歯菌は血流に乗って全身をめぐって炎症を拡大し、脳梗塞や肺炎等の重篤な疾患を引きおこします。また、炎症が引き金となってケミカルメディエーターと呼ばれる物質が血液中に大量に放出され、この物質が心臓病に関係する炎症を引き起こすのです。

英国ブリストル大学の研究者らが行った2008年の研究では、口腔以外に問題がない人でも、口腔内のバクテリアが歯茎から血流に入ると、血液中の血小板と結合し血栓になり、これが心臓に到達することで心筋梗塞を引き起こすことがわかっています。

たかが虫歯、と侮らずに早めに治療を始めましょう。虫歯と歯周病を完治させ、歯みがきとクリーニングを継続する。たったそれだけでで豊かな食生活と全身の健康を維持でき、あなたの人生を更に充実させることができます。